自律性研究
TypeProjectYear2022-2023MemberShotaro Yagi, Imbe Masahiro, Satoshi Ishii, Ei Nakagawa

自律性研究は、2022年秋から2023年夏にかけて行われた探求活動である。Zipadeeのプロトタイピングを経て、「自律性を高めるツール」としてピボットをする過程で中心的となった問い「自律的とはどういう現象か」「チームが自律的になるためには何が必要か」を答えるために活動がスタートした。
「メンバーが自律的になること」に対して異を唱える人には出会わない一方で、「自律性」ほどチーム研究で理解されていない現象はない。、初期はZipadeeチームとメソッドチームの議論を行い、自律性を「バウンダリーを自分で規定することができる」と定義するに至る。しかし、これでは自律(自ずから)という現象を説明するのに「自分/自己」を用いてしまっているというトートロジーに陥ってしまっている。しかしそれを乗り越えられる既存研究がないことから、後期はZipadeeチームと株式会社ちえものの中川瑛氏も交えて、理論的および実証的に研究を進めることとなった。
理論的にはオートポイエーシスの議論を援用しながら、自律とは存在の原理であり、自律化とは区別(バウンダリー)の安定性を高めるであるという結論に至った。その前提に立てば、自律化のためには規範や環境にもアプローチする必要があるだろう。実証的にはヒアリングを通じたプロジェクト・チームの自律性に関わる質問を、グラウンデッド・セオリーを用いて整理することで3つの領域と3つの次元から成る12の要素に辿り着いた。
この自律性理論は、Zipadeeの開発が中断となったために継承されずに途絶えている。ただ、自律的なプロジェクトマネジメントに必要な観点や、規範・環境構築の原理に迫る貴重な示唆を残していると考えられる。
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