「もつれる」プロジェクトを見てみたい

A Project Theory Probe Journal Series

TypeArticle SeriesYear2024-2025ProjectProject Theory ProbeMemberShotaro Yagi

「「もつれる」プロジェクトを見てみたい」は、2024年11月〜2025年10月にProject Theory Probe Journalにて八木翔太郎により執筆された全12回の連載である。外にある異質なものを含み(involve)ながら進化(evolution)していくさまを指す「involution」という視点から、プロジェクトを合理的な原理だけでは説明できない創発的なものとして捉え直すことを試みる。前連載「自己組織化するプロジェクトを見たい」が抱えた「言語に依存している」という限界を乗り越えるべく、あえて主題である「プロジェクト」から軸をずらし、関係性を中心に据えた思想家・科学者(ダーウィン、ダナ・ハラウェイ、リン・マーギュリス、ブライアン・グッドウィン、カレン・バラッド、ニコラス・ルーマン、ハルトムート・ローザ、ジョセフ・ラウス、ドゥルーズ、キャサリン・マラブーら)を経由しながら探査が進められた。

連載を通じて示されるのは、プロジェクトが関係性を紡ぐのではなく、あらゆるものがつながり合う「共棲する世界(symbiotic world)」の中にプロジェクトが在る、という発想の転換である。それゆえプロジェクトの役割は、偶有的に生じる「区別(切断)」をノイズとして片付けず、社会に刻印し持続させることに見出される。その経路として、モノを出力すること(バーチャルな区別を物質に残す)と、関係性そのものを持続させること(可塑的なネットワークの生成)の2つが提示された。共創生的(sympoietic)なプロジェクトの倫理とは、変化への信頼を失わずに、結果よりも可塑性(plasticity)のある関係を、成果よりも可解性(intelligibility)のある出力を残すことにある。そのうえで、どれだけの差異を受け入れながら意味を保てるか、どれだけ意味のある差異を生み出せるか、という問いこそがこのプロジェクト観の核心である、と締めくくられている。