価値探索プロジェクト
「価値探索プロジェクト」は、叡啓大学の共創プログラムの前半3か月にあたり、企業の経営層・プロジェクトリーダーと定金基がチームを組み、焦点を当てる価値を定める取り組みである。
この段階では、定金がリードする毎週90分のワークショップを重ねる。経営層や事業責任者が、いま考えていることを話し、書き出すところから始め、事前の準備は求めない。企業のミッションやビジョン、解決したい社会課題を出発点に、日々の「緊急かつ重要」な業務に追われて後回しになりやすい「重要だが緊急ではない」領域へ、時間をとって向き合う。
こうした価値の絞り込み方には、手を使って議論をファシリテーションし、「価値を出す」とはどういうことかを探ってきたコパイロツトの知見が凝縮されている。「価値探索プロジェクト」はそれが体系化された一つの形である。「重要だが緊急ではない」領域に照準を合わせる着眼は、プロジェクトリーダーのコミュニティで共有されてきたタイムマネジメント・マトリクスの応用であり、叡啓はそれを実地で確かめる場となった。あわせて確かめられたのは、濱口秀司のイノベーションのフレームワークでいえば、既存の改善にとどまる「TUNE」でも新しい構造へ跳ぶ「JUMP」でもなく、既存の経営資源の文脈をずらして新しい顧客価値を生む「SHIFT」が要となるという点である。これはアンゾフのプロダクト・マーケット・マトリクスでいう、既存市場に新規プロダクトを投じる「新製品開発戦略」の象限にあたる。既存事業を営む広島企業には「SHIFT」にこそ「自社の強み」と「社会的ニーズ」が重なる価値が見つかりやすい。また既存の市場であるからこそ既存顧客との繋がりがあり、学生が現場で話を聞いて検証しやすいというメリットもある。この価値探索プロジェクトで焦点を定めた価値は、続く学生実証プロジェクトでのフィールドワークによって検証・具体化されていく。