コパイロツトの「実践的転回(Practice Turn)」と哲学探究

TypeProjectYear2021-2023MemberShotaro Yagi, Masahiro Inbe, S.I

コパイロツトは長らく現場の実践のアップデートを司る機能としてナレッジマネジメントを提唱して探究およびトライアルを重ねてきた。それは、Project Sprintをはじめ、コパイロツトの基礎の一部として本日に至るまで引き継がれている。

一方で、「ナレッジ」という言葉が制約を生み出していたのも、また事実であった。「コパイロツトのしていることの正しさをどう原理として記述できるのか」という問いを前にして、ナレッジは計測どころか汎用的な定義も困難である。実際、ナレッジは形式化されたノウハウに留まらず、関係性の中にも、無意識にも、モノのアフォーダンスの中にも現れているのだ。当時のテンションについては、2020年下期に投稿されたSlack投稿から窺い知れる(添付)。

エクスパンシブ活動の「理論研究」は単なるプロジェクトに関する学際的な研究ではなく、上記のテンションに対する応答であった。コパイロツトの方法論は新たなプロジェクト・マネジメントの視座を提供しているのであり、それを明晰に説明するにあたって必然的に、日常一般的に語られる(e.g.ナレッジ)のとは異なる言葉で人の認知や実践について語ることが求められる。哲学はまさに「当たり前」を問い直す学問分野であり、だからこそ「実践理論」の参照先として、「理論研究」を可能にする言語を提供してくれている。

偶然ではあったが、哲学を専攻する2名の後期博士課程学生とコラボレーションを行えたことは、この「実践的転回」を象徴する出来事であろう。当時、東京大学大学院総合文化研究科のIさんと、筑波大学大学院人文社会科学研究科の印部仁博さんと共に、「プロジェクトマネジメントについて考える」を考えながら、協業や議論を通じてProject Sprintに関わる領域を多角的に捉え直すきっかけを得た。

Iさんとの協業では、「実践理論」の主だった理論を共通言語化すべくブログ記事に平易にまとめ上げた。

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印部さんとの活動は、社内Podcast、輪読、Project Sprintの捉え直し、そして社内PJ(アセスメントツール開発、自律性研究、学習プログラム開発)への参画を通じた壁打ちなど、多岐に渡っている。

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