ふりかえり人体実験

TypeMaterialYear2015 - 2018MemberMotoi Sadakane, Satoshi Takahashi, Tomohiro Yoneyama, Kentaro Yoshioka, Shotaro Yagi, Hiroaki Takatsu

ふりかえり人体実験は、コパイロツトのKMチームが、世に知られたふりかえり手法を自分たちで一通り経験していった長期間の試行である。名称は、コパイロツトがProject Sprintの成り立ちを日本ナレッジ・マネジメント学会で発表するために整理した資料に由来する。資料は2006年からの歩みを5つの期に分け、2014年からの第Ⅳ期を「コパイロツトラボの人体実験 期」と名づけて、スクラムのふりかえり(レトロスペクティブ)を含め、京都・霧芯館でのKJ法合宿、ティール組織やホラクラシーの実験など外部の多様なナレッジを自ら試した時期としている。その試みは、2015年11月から12月のスクラム実験と並行して始まっており、同年11月の KM チームの定例では、すでに『アジャイルレトロスペクティブズ』を引いて会議の進め方のふりかえりが行われている。2018年9月のブログ記事によれば、ふりかえりをやろうと言い始めた頃は KPT で始めていたが、手法としてはコモディティであり、もっとインパクトのある方法論があるのではないかとして、書籍『アジャイルレトロスペクティブズ』を入手し、ふりかえりの5つのステージに沿って紹介されている30の手法、および見聞きした手法(AARやManagement 3.0など)を片っ端からチームで試していった。

同書は、ふりかえりのプロセスを次の5つに分け、プロセスごとに手法を紹介している。

  1. 場を設定する
  2. データを収集する
  3. アイデアを出す
  4. 何をすべきか決定する
  5. レトロスペクティブを終了する

興味深い手法は多かったものの、1〜5のすべてを持ち合わせた手法がほとんどなかったこと、業務上の制約に耐えうる短時間で完了できる手法が少なかったことから、知名度も相まって「KPT最強説」が生まれた。KPT+A では、Tryを元にActionを書いて遂行にコミットさせることで1〜5のすべてを1つの手法で回すことができる。Action という収束の段があることで、Try はアイデアの発散だけに集中できるという利点も挙げられている。一方で KPT+A は万能ではないとされ、1回のミーティングのような短い対象には5分程度の「+/Δ(プラス/デルタ)」を、数か月にわたる長い対象には「タイムライン」を応用した手法を使い分けている。

2018年9月には、この経緯を含むふりかえりの連載がブログに掲載され、経験学習モデルやマトリクスKPT+Aとともに紹介された。2021年の記事でも KPT+A と+/Δが社内の手法として紹介され、2021年から2025年にかけての資料「継続的改善アプローチ」は、「自律的なチームでありつづける」ための3つの切り口の一つにふりかえりを置き、その手法表を同書の5つのプロセスを骨格に組んでいる。2023年には、Project Enablementの支援の中で、大小のふりかえりで進め方の仮説と検証を回し続ける取り組みが紹介されている。

なぜ、コパイロツトのふりかえりはKPTベースなのか。